キャロルはアニメを予測していた

　キャロルが創作した話は、アリスの背が急に高くなったり低くなったり、赤の女王がその場に止まるために全速力で走ったり、白の騎士がまっさかさまに落馬したりなど、アニメにしたら幼い子供も喜ぶような場面が沢山あります。その中で、特に『スナーク狩り』の第７話は、キャロルが来るべきアニメの時代を予感しているような話だと思います。

　スナークを捕まえたい一心で、仲間を出し抜いて一人で探していた銀行家。想像の動物バンダースナッチが急にあらわれて銀行家の身体をぱくりとかみつき、空に振り上げてドスンと落とす。のたうちまわる銀行家…略……気が狂った男は骨をカスタネットがわりにかたかたさせながら悲しげに歌う。その顔は真っ黒になり、身に付けたチョッキは白くなった。

　この話のタイトルは「銀行家の運命」　The Banker’s Fateですが、fate運命という字がn　にリンクされると、Banker銀行家に繋がって、一字違いの呼び名Bakerパン屋　は、ｎが無いので、ｎにリンクするFate運がなかったのです。ご存じのようにｎのないBakerパン屋はブージャムに会って消え去ってしまいました。

² nはアルファベット14番目の字　fate のアルファベット・ナンバーは14　

　私の持論からはさらにこれがアニメに結びつくのですが、次号2016年秋発行の「ミッシュマッシュ」に７話の拙訳と共に記載します。日本の浮世絵師にも話が飛びます。

　それにしてもテレビも映画もない時代はお話を読んだり聞いたりしながら人や動物の動きを頭に描いて楽しんでいたなんて、現代人より脳が活発に働き想像力も豊かだったのでしょうね。　

　怖さのあまりに気が狂った銀行家